サラブレットの血統って何?

サラブレットの血統って何?


「競馬はブラッドスポーツである」ってよく言いますね。

サラブレットの血統と能力には、もちろん大きな関係があります。

でも、最近の研究によると、サラブレットの競走成績に両親からの遺伝が影響する割合は約33%位だそうです。
残りの約66%は妊娠中の母親の生活態度や生まれてからの環境の影響だそうです。

噂によると、あの「ディープインパクト」でさえ、きちんと調教をしなかったり、武豊の騎乗でなかったりしたら、せいぜい、オープン馬で終わったろう、との話です。

まあ、でもサラブレットの基本的な競争能力に血統が大きく関係しているのは、変わりません・・・。あ〜人間でよかったあ、ような気もする・・・。

実際、サラブレットの生産牧場は血統をよおく考えて交配します。
馬主も血統を強く意識してサラブレットを購入します。

もちろん、我々、競馬ファンも馬券を予想するとき、血統は考えますねえ。(でもこれは中級者以上かな)

今まで、血統というときには主に父側の方ばかり注目されてましたが、実は、最近の研究によると、サラブレットの遺伝的な素質は、ナント母馬から55%受け継いでいます。
父馬からは45%(つまり半分以下)を受け継ぐんですね。

う〜ん、結婚は、やっぱり、よおく考えてしないとね。あちゃあ、もう遅いか!!

サラブレットは、生まれながらの血統構成をが現役の競走生活や引退後の余生に、ホント大きく影響します。

とくに引退後の生死を分けるのは、競走成績だけじゃありません。競走成績や繁殖の実績に優れた馬の近親であるというだけで種牡馬や繁殖牝馬として遇されることも多いです。

そしてびっくりしますが、また、そんな馬たちが、実際に素晴らしい繁殖成績を挙げたりするんです。

サラブレットの基本血統用語

種牡馬

繁殖牝馬

ブルードメアサイアー(母の父)

○○系 - 特定の馬の直系。

メールライン、サイアーライン、父系

ファミリーライン、母系、牝系

ファミリーナンバー - 基礎牝系

血量 - ある馬の血統中で、特定の先祖馬が占める%を数値化したもの。

両親をそれぞれ50%、祖父母をそれぞれ25%、曽祖父母を12.5%、四代前を6.25%、五代前を3.125%…と、代を遡る毎に2分の1とし、特定の先祖馬の血量の合計を、AのB血量はC%などと言います。

インブリード、クロス - 近親交配のこと。

アウトブリード - 雑種交配、異系交配。インブリードではないということ。

ラインブリード - 系統交配、系統繁殖、累進交配。近親交配のうち、それぞれの直系に同じ先祖がいる馬同士の交配のことです。

ニックス - これは相性がいいです。父系と母の父系の組み合わせ。


結局、直接の祖先・子孫の関係以外は、競走馬Aから競走馬Bへ、牝馬の親子関係だけでつながる(=一方の競走馬から2頭の共通牝馬の祖先へつながり、そこからもう一方へ下る)ればAとBとは血縁関係、近親です。

ただ、この場合の近親関係・血縁関係は、遺伝学上の近親関係とは別ですね(近親関係にないウマ同士を交配しても近親交配になることはよくあります)


具体的なウマの血縁関係って?

親子関係
生物学上の父親を父、母親を母といいます。人間というか生物はみな一緒。
生物学上の子は産駒、仔。

兄弟姉妹の関係
あるサラブレットの母が同じ馬は兄弟姉妹。

ただ、父ウマを同じくする競走馬は兄弟姉妹と呼ばない。
ここは、人間と違いますねえ。

母だけ同じ兄弟姉妹をそれぞれ半兄・半弟・半姉・半妹といいます。
母と父が同じ兄弟姉妹は、全兄・全弟・全姉・全妹と言います。

祖父母の関係
ある競走馬にとって父の父、母の母といった、サイアーラインかファミリーラインの血統の馬を祖父母と言います。

母の父は、ブルードメアサイアーとしての関係があるので祖父として扱われることが多いです。

だけど父の母は祖母としては扱われないんですね。 ここも人間とは違ってます。まあ、勝手に人間が決めたルールですね。


おじ・おばの関係ある競走馬にとって、母の兄弟姉妹はおじ・おばと呼ぶが、父の兄弟姉妹はおじ・おばとは呼ばない。

いとこの関係

ある競走馬にとって、母の姉妹の産駒はいとこと呼ぶが、父の兄弟姉妹の産駒、および母の兄弟の産駒はいとことは呼ばないんです。

親子○代制覇ってどういう意味?

この場合は父系の親子関係(サイアーライン)、牝系の親子関係(ファミリーライン)をさします。

たとえば
例:アグネスレディー(優駿牝馬)-アグネスフローラ(桜花賞)-アグネスフライト(東京優駿)・アグネスタキオン(皐月賞)-ロジック(NHKマイルカップ)

アグネスフローラはアグネスレディーの産駒なので親子GI制覇となります。

アグネスフライト、アグネスタキオンはアグネスフローラの産駒でアグネスレディーの孫なので親子3代GI制覇となります。

アグネスフライト、アグネスタキオンは母が同じなので兄弟GI制覇となります。

ロジックはアグネスタキオン産駒なので親子GI制覇ではあるが、アグネスフローラとは牝系が異なる為親子GI4代制覇とはならないわけですね。

血統表

血統表とは、競走馬や馬術競技馬の血統をあらわす家系図ののことです。
その馬の代々の祖先を父方・母方も特定世代まで全て表にまとめています。

血統を見るには、血統表は一番大事です。

書き方にはいくつかのタイプがあります。

他にサイアーラインやファミリーライン(牝系図)などもありますが、これらは血統表と違い血統の一面(父方や母方のみ)を見るためのもので、全体を見るにはやはり血統表が必要ですね。


血統表の見方

テイエムオペラオーを例にとってみると

一番左の列は上下二段に分けて上に父の名を、下に母の名を書きます。

テイエムオペラオーは、父がオペラハウス、母がワンスウェドです。
オペラハウス
ワンスウェド

このさらに左に自分自身の名を書くこともあります。

つまり一段目は、一代先祖の父と母が並びます。

次に左から二番目の列は四段に分かれます。
上二段は父についての欄で、先ほどと同様に上に(父の)父の名を、下に(父の)母の名を書きます。

オペラハウスの父はSadler's Wells(日本に輸入されてない競走馬は英語表記)。母はColorspinです。

オペラハウス Sadler's Wells
Colorspin
ワンスウェド

下二段は母についての欄で、上に(母の)父の名を、下に(母の)母の名を書きます。

ワンスウェドの父はBlushing Groom、母はNouraである。
オペラハウス Sadler's Wells
Colorspin
ワンスウェド Blushing Groom
Noura

つまり二段目は、二代先祖の(父方と母方双方の)祖父と祖母が並ぶことになります。

以下同様に、左から三段目は三代前の先祖が8頭並ぶ。左から四段目は四代前の先祖が16頭並ぶ。まとめると以下のようになる。



テイエムオペラオーの血統 


*オペラハウス
Opera House 1988 (父の父)Sadler's Wells 1981 (父の父の父)Northern Dancer (父の父の父の父)Nearctic
(父の父の父の母)Natalma
(父の父の母)Fairy Bridge (父の父の母の父)Bold Reason
(父の父の母の母)Special
(父の母)Colorspin 1983 (父の母の父)High Top (父の母の父の父)Derring-Do
(父の母の父の母)Camenae
(父の母の母)Reprocolor (父の母の母の父)Jimmy Reppin
(父の母の母の母)Blue Queen


*ワンスウェド
Once Wed 1984 (母の父)Blushing Groom 1974 (母の父の父)Red God (母の父の父の父)Nasrullah
(母の父の父の母)Spring Run
(母の父の母)Runaway Bride (母の父の母の父)Wild Risk
(母の父の母の母)Aimee
(母の母)Noura 1978 (母の母の父)Key to the Kingdom (母の母の父の父)Bold Ruler
(母の母の父の母)Key Bridge
(母の母の母)River Guide (母の母の母の父)Drone
(母の母の母の母)Blue Canoe




この血統表では4代目まで記述されているため4代血統表と呼びます。これには4代前までの先祖が全て書かれています。

補足
一番上の行は父、父の父、父の父の父、父の父の父の父と並ぶ。これらの配列をサイアーラインといいます。

逆に一番下の行には母、母の母(祖母)、母の母の母(曾祖母)、母の母の母の母(高祖母)と並ぶ。これらの配列をファミリーラインといいます。

五段まであって五代前の先祖32頭までを表に掲載した血統表は五代血統表と呼びます。以下6代、7代、8代血統表と呼ばれますが、次第に莫大な数の先祖馬を記載する必要が出てくるため特殊な用途にしか使われていません。

IK理論で9代血統表(1000頭以上)が、ドサージュ理論において12代血統表(8200頭記載)が使われた事もありますが、一般的には3代から5代血統表がよく使われています。

血統表によっては生年や毛色を併記することもあります。

インブリードの発生している馬を太字、あるいは色等で区別して書くこともあります。

馬名の表記の仕方について

馬名の表記については、全てカタカナあるいはラテン文字で表記する場合もあるが(中にはハングルなものも存在する)、「日本で競走に走った馬」と「日本に繁殖で輸入された馬」はカタカナ表記(あるいはラテン併記)、それ以外の日本に輸入されてない競走馬は母言語にかかわらずラテン文字表記です。

輸入された馬に対してアスタリスクをつける場合もあります。同名異馬が存在する場合には「Nijinsky II」の様に表記する場合が多いです。「Nijinsky (CAN)」、「Nijinsky (1967)」と表記する場合もある。


多くの競走馬生産者は、競走馬の競走能力が、その血統構成によって決まるという信念を持っています。

競走馬の配合に関する経験や知識の中には理論(血統理論、配合理論、生産理論)として体系化されているものもありますが、多くの場合は疑似科学的、錬金術的ともいえます。なかなか難しいものです。

血統利用の現在

血統論は、もともとは生産者が優れたサラブレッドを生産するための方法論でしたが、競馬がギャンブルの性格を強くすると、馬券の予想に用いられるようになりました。

いまでは馬券やサラブレッドの生産や取引から独立して、サラブレッドの血統の研究そのものが娯楽になっています。

とくに日本では、1990年代に血統理論を組み込んだ競馬ゲームが人気になり血統理論の概念が普及すると、サラブレッドの血統に関する書物が一般に多数刊行され、かなり売れるようになってきました。

血統の研究は、ただ血統と成績のインデックスの集積を目的とするものと、血統と成績の因果関係を体系化しようとするものに大きくわかれます。

普通、血統の研究は医学的・遺伝学的な手法ではなく、歴史学的・文献学的な手法がとられています。

本当は、優秀なサラブレッドを生産する配合を選択決定するための生産理論と、生まれてきたサラブレッドの競走能力を説明するための血統理論は別のものでしょう。

一定期間、競馬の結果を観察することで、ある特定の種牡馬(あるいは繁殖牝馬)の子や孫に共通した特徴がわかってきます。

この特徴は、サラブレッドの競走とは無関係に、身体的外見的特徴であったり、血友病や喘鳴症などの疾病であったり、性格的気質であったりします。こうした特徴が受け継がれる事実は、遺伝学が一定の科学的成果を収めるよりも古くから経験的に知られいました。

血統理論はこの「体験」「経験」に基づいています。

血統理論の欠陥

しかし血統論には欠陥があり、サラブレッドの生産が始まってから3世紀(まだそんなものですね)たっても議論を科学の域にまで押し上げられたものはありません。サラブレッドの血統に関する研究や理論は、未だ疑似科学、錬金術のレベルです。


統計的手法の欠落

サラブレッドの競走能力と血統の相関関係を体系化する時に、厳密な意味での統計学的手法が用いられることは、ほとんどありません。

統計学的手法は、これまでサラブレッドの世界に持ち込まれることがなかったか、あるいは無視されてきました。

この事実から血統理論は科学的理論ではありえません。

1791年にジェネラルスタッドブックが創刊されて以来、サラブレッドの血統と競走成績は一体のものになりました。

一般的にサラブレッドの「血統」とか「血統書」と言った場合、それは単なる親子兄弟親族などの姻戚関係を図表化したものではなく、必ず競走成績が併記されることによりそのサラブレッドの血統的な「優秀さ」を表わそうとしています。

こういうサラブレッドの「優秀さ」の表示は、サラブレッドの売買価格の決定や購入の決断をする場合に使われてきました。

この場合、売り手は、できうる限りそのサラブレッドの「優秀さ」を高めたいので、競走成績に関する情報のうちから「都合のよい」ものだけを表示します。

この事情は現在も同じです。

最近、サラブレッドの競走結果の資料が爆発的に普及しましたが、ほとんどの場合それらは、ある馬がどこそこの競走でどのように勝利したかの羅列です。

どこでどのように敗戦したかを体系化した資料はありません。

厳密な意味で統計学的手法で、サラブレッドの競走能力を数値化しようとした場合は、心臓の大きさとか、運動量と心拍数の変化とか、筋量や骨量とかといった医学、解剖学、運動生理学に基づくものになるでしょう。

また、継続的な実験による母集団の作成と抽出という作業を行うためには、遺伝学的な手段による条件の画一化が不可欠です。

ところが、サラブレッド生産は常に遺伝学的手法を拒んできました。

それにサラブレッドは非常に高価です。しかも趣味的な性格が強いので、こうした実験は不可能ですね。

運動生理学や獣医学の分野ではこうした研究は一定の成果を挙げているが、これはサラブレッドの血統と能力の相関関係を明らかにするためではなく、専ら経済動物であるサラブレッドを疾病から守るために行われている。


競走能力の基準は適当です

血統理論は、サラブレッドの競走能力の由来を主にその血統に求めるものです。
でも、残念ながら競走能力の基準を何によって表すか、客観的な基準はありません。

たとえばイネの収穫量とか、果実の糖とか、乳牛の乳量や脂肪量のように、継続的に計測することはできません。

収得賞金額、勝利数、所要タイムなどの絶対的な指標を用いることもあります。

でも競馬の性格上、これらの基準が普遍的なものとはいえません。

競馬は、ゴールへの到達順位を競うものです。
タイムを競うものではありません。
相手次第で順位や所要タイムが異なってくるため、それらを単純に比較することは難しいです。

また、騎手や馬主、調教師といった関係者によるレース中やレース前の継続的あるいは一時的な影響によっても競走成績は大きく左右されます。(騎手の騎乗技術や、出走レースの選択などは大きく、そのサラベレッドの運命を左右します)

最近はフリーハンデやアウスグライヒ、ワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングなどの、ある程度の客観性を持った基準も出来てきました。

それでも、競走馬の競走能力を相対的にあらわしているだけです。

一方で、主に運動生理学の立場から、サラブレッドの競走能力を構成する心臓や肺などの循環器や、筋肉や骨などの運動器のあり方を明らかにしようとする試みも行われており、一定の成果をあげている。こうした器官の運動性能によって競走能力を数値化することは理論上は可能であるが、現に競走に出走して一定以上の成績を収めているサラブレッドの心臓を取り出して解剖するわけにはいかないので、結局のところこうした運動生理学の観点で競走能力を数値化する試みはほとんど行われないのが実情である。

またこのような生物的な運動能力が必ずしも競走の成績と比例しない事実も経験的に知られている。運動能力以外のサラブレッドの血統に基づく特徴として、「回復力」とか「成長力」とか「馬格」などの抽象的な要素や、「勇敢さ」とか「利口さ」とか「馴致性」といった精神的な要素が知られており、ときには「品位」であるとか「優雅さ」といった競走能力とは関わりが薄いと考えられる要素が取り上げられることもある。これらを指標化することは極めて困難である。


遺伝学に関する議論や手法の不足
サラブレッドの形質の中で、親子間でその形質が一定の法則に基づいて伝わることが明らかにされているものとして、サラブレッドの毛色と血液型がある。毛色は外観上容易に判別することが可能で、血液型も比較的容易に確認することが可能である。かつてはこうした形質と競走能力の相関関係を明らかにしようとする試みもなされたが、現在ではほとんど無視されている。

サラブレッドの競走能力は、運動器の良否、循環器の強弱、性格の適否の集合体として発現するが、これらのうち先天的なものと後天的なものとを明確に分別することは不可能である。一般的に血統理論は、当然にしてサラブレッドの先天的な能力が血統によって決定付けられるものとしているが、現在では遺伝学の成果により、これらの形質が極めて複雑な遺伝の仕組みによって決定されることが知られている。しかし、遺伝学の知識が血統理論に取り込まれることは稀である。

遺伝学は、血統理論を論じる場合にはたいてい無視されるか、誤解されるか、意図的に曲解されるか、あるいは単に知られていない。血統理論を構築する場合に多く用いられるのは、現在や過去のさまざまなサラブレッド競走馬の遺伝子のサンプルではなく、血統表と成績表である。

サラブレッド生産は伝統的に、精子の保存や人工授精といった遺伝学の分野の科学的成果を導入しやすい手法を拒み続けている。これは主に商業的な理由によるものであるし、サラブレッド生産が単なる産業ではなく多分に趣味的な性格を兼備していることにも由来する。


経験的に知られる例外
過去においてさまざまな血統理論が構築されてきたにもかかわらず、説明が困難な現象が知られている。多くの血統理論はこれらの現象をうまく説明できないか、無理やり説明しようとする。

全兄弟に関する議論
サラブレッド生産においては、母馬が同一である場合において、これを「兄弟」(あるいは姉妹)と言う。父馬(種牡馬)は1年のうちに何頭も(多い場合には100を超す)子を作るので、これらを「兄弟」と表現するのは不適当だからである。母馬が同一で、なおかつ父馬も同一の場合、これらを特に「全兄弟」といい、父馬が違う場合を「半兄弟」という。(このほか特定の条件で「4分の3兄弟」という表現もある。)
血統理論では、全兄弟は全く同一の血統表で表されることになり、全く同程度の競走成績が期待される。しかし実際には、兄は歴史的な名馬であるが弟は凡馬であるとか、その逆とか、兄弟で全く異なる特徴があるとかという例が経験的に知られている。
「良い」血統、「悪い」血統
サラブレッド生産においては、競馬での競走能力が著しく優れていたにもかかわらず繁殖における成果が著しく低劣であるとか、その逆であるという例が数多く知られている。

血統理論が明らかにしようとするもの

現代では、血統が単に「良い」とか「悪い」というような単純な一次元構造ではなく、さまざまな特徴の複合として多次元的に定義することが多い。その例としては

利口さ、賢さ、勇敢さ、臆病さ、馴致性、回復力、頑健さ、性格、瞬発力、健康さ、筋力、心肺能力、持久力、脚質、速力、芝やダートの上手さ、障害飛越能力、遺伝力、疾病の有無、成長力

など。

ただし、それぞれの特徴の定義が不明瞭な場合も多い。


主な血統理論

ロバートソンの理論

ベッカーの理論

ブルース・ロウのフィガーシステム
1895年、オーストラリアのブルース・ロウが発表した理論。ファミリーナンバーでよく知られる。

ブルース・ロウは著書『フィガーシステムによる競走馬の生産』の中で、当時のサラブレッドをイギリスのジェネラルスタッドブックの1巻に記載されている牝馬まで遡り、イギリスのダービー とセントレジャーとオークスの優勝馬の数が多い系統順に並べ、多いものから1〜43号の番号をつけた。この番号をファミリーナンバーと呼ぶ。そして特に優れた競走馬が多く属する系統として1〜5号を競走族、優れた種牡馬が多く属する3、8、11、12、14族を種牡馬族と呼び、必ずしも競走能力の優秀さと種牡馬能力の優秀さが相関関係にないことを明らかにして、独自の配合理論を打ち立てた。理論の発表から100年以上経過しており、彼の理論自体が重要視されることはほとんどないが、ファミリーナンバーに基づくサラブレッドの分類はたいへん便利なため、現在でも牝系を整理する際に多く用いられている。

ブルース・ロウについて補記すべきこととして、彼がファミリーナンバー以外に「競走能力に優れた牝系のファミリーに、優秀な種牡馬を交配すると、優秀な産駒が出る」ことを例を引きながら論じた功績が挙げられる。論の立て方の冷静さが、時代を考えるなら大きいといえるだろう。


ゴルトンの法則
19世紀から20世紀にかけてイギリスで遺伝の研究をしたフランシス・ゴルトンが提唱した理論。子供から見て、両親の影響力はそれぞれ父が4分の1、母が4分の1、祖父母が16分の1ずつ、曾祖父母が64分の1ずつ…であるとして、これらの総和によって子供の形質が発現するとした。この理論では、たとえば両親が全くの凡馬であるのに子供が優秀である現象を説明できる。両親の影響力は父4分の1と母4分の1の計2分の1にすぎず、それより以前の代が優秀であれば残りの2分の1に相当するので、これに子供の能力の由来を求めることができるのである。この理論は、メンデルの法則に代表されるその後の遺伝学の成果により、完全に否定されている。現在ではゴルトンは遺伝学者としての評価を受けていない。しかし、血統表に現れるすべての馬が産駒の能力に影響を与えるという彼の考えは、現在もほとんどの血統理論に取り込まれている。


フィッツラックの18.75%理論(奇跡の血量)
近親交配を行う場合の方法論として現在も特に日本で人気のある理論で、「奇跡の血量」として有名。両親をそれぞれ50%、祖父母をそれぞれ25%、曽祖父母を12.5%、四代前を6.25%、五代前を3.125%…と、代を遡る毎に2分の1とし、これを血量と称する。近親交配を行った際に、ある特定の祖先の血量の和が18.75%になった場合に優秀な競走馬が生まれることが多いという理論。特に、3代前と4代前に共通の祖先が現れる際に18.75%になることから、「3×4」が奇跡の血量の代名詞として通用している。ゴルトンの法則同様、完全に非科学的であるが、方法論が単純であるのと、優秀な競走馬がしばしばこの奇跡の血量をもつことから根強い人気がある。正確な記録がないが、日本では1948年生まれのトキノミノルが活躍した際に紹介されて有名になり、コダマ、トウショウボーイがこの理論に合致するとして知られている。他にも、サクラユタカオー、ヒシアマゾン、最近ではメイショウサムソンなど。


ヴュイエのドサージュ理論
フランスの退役軍人ジャン=ジョゼフ・ヴュイエ大佐(Jean-Joseph Vuillier)が1920年代の著書『競走馬の合理的配合(Les Croisements rationnels dans la race pure)』で提唱した理論。ゴルトンの法則の発展系といえる。サラブレッドの祖先を12代前まで遡り、12代前を1ポイント、11代前を2ポイント…2代前を1024ポイント、1代前を2048ポイントとし、あらかじめ選んだ「シェフ・ド・ラス(chefs-de-race、純血種の長)」と呼ばれる16頭の過去の重要な馬が、血統表中に出現するポイント値を計算する。そして16頭のポイント値がある理想的な分布(スタンダード・ドサージュ値)になるように配合を決めるとよいとされる。ヴュイエの理論はアガ・カーン3世の生産牧場で実践されて一定の成果を収めたとされる。12代遡ると登場する祖先は8192頭に及び、計算作業が大変煩雑であるし、理論の発表から50年以上が経過して世代交代が進み、ヴュイエが考えた理想的な分布は適用できなくなっていることから、当時の理論をそのまま現在も用いることはまずない。現在は改良されたドサージュ理論(次項)が一般に用いられる。いずれも科学的には全く根拠がない。詳細はドサージュ理論を参照。

シュフ・ド・ラスに含まれる繁殖馬(ポカホンタスのみ牝馬)およびそのスタンダード・ドサージュは以下の通り。

バードキャッチャー(288)
タッチストン(351)
ポカホンタス(313)
ヴォルテール(186)
パンタルーン(140)
メルボルン(184)
グラディエーター(95)
ベイミドルトン(125)
ストックウェル(340)
ニューミンスター(295)
セントサイモン(420)
ガロピン(405)
アイソナミー(280)
ハンプトン(260)
ハーミット(235)
ベンドア(210)

フランコ博士によるドサージュ理論

スティーヴ・ローマンの改良型ドサージュ理論
スティーヴ・ローマン博士のドサージュ理論では、シェフ・ド・ラス種牡馬はその繁殖での実績に応じて、スピードからスタミナの5種類に区別され、またそのうち1種類または2種類のカテゴリを持つとされる。カテゴリは以下の通りで、Brilliantが最もスピード系で、Professionalが最もスタミナ系の能力である。

Brilliant(B)
Intermediate(I)
Classic(C)
Solid(S)
Professional(P)
例えば、ノーザンダンサーはBrilliant(B)とClassic(C)のシェフ・ド・ラス種牡馬である。これが父の場合16ポイント、祖父の場合8ポイント、以下4ポイント、2ポイントの値を持つ。そして、このように2つのカテゴリを持つ場合、各カテゴリに対して半分ずつ値を按分する。よって、ノーザンダンサーが祖父にいる馬の場合、BとCが4ポイントずつ与えられる。4代血統表からこれらの数字を合計したものが、ドサージュ・プロファイル(Dosage Profile)と呼ばれる。例えばフジキセキを例に取ると、ドザージュ・プロファイルは以下のように算出される。

2代祖先:ヘイロー(B,C)、ルファビュルー(P)→B,Cに4、Pに8
3代祖先:ヘイルトゥリーズン(C)、ワイルドリスク(P)、インリアリティ(B,C)→Bに2、Cに6、Pに4
4代祖先:ターントゥ(B,I)、プロミストランド(C)、インテンショナリー(B,I)→Bに2、Iに2、Cに2
ドザージュ・プロファイル=8-2-12-0-12(左から、B,I,C,S,P)
ここから、スピードとスタミナの能力についてドザージュ・インデックス(DI)およびセンター・オブ・ディストリビューション(CD)を算出する。これらの数値が低いほどスタミナが多いとされ、レース距離とこの指標は相関するとされる。目安としては、ドザージュ・インデックスが4以上であればスピード型で、距離克服能力に不安を持つとみなす。算定方法は下記の通り。

ドザージュ・インデックス=(B+I+(C/2))/((C/2)+S+P)
センター・オブ・ディストリビューション=((2*B)+I-S-(2*P))/(B+I+C+S+P)

リーウェリンの平衡生産方式(ニックス)

マクリーンの血統理論

宇田一の交配形式の理論
中央競馬会から東京大学の宇田一博士に委託されての研究として、父がインブリードかアウトブリードか、母はどうなのか、そして自身はどうなのか、それらの組み合わせを例示して、どれが優秀かを統計的に突き止めようとした。


笠雄二郎の配合理論
笠雄二郎は在野の血統研究家で、1984年に「日本サラブレッド配合史」を上梓した。「日本」と銘打ち、100頭の日本産名馬の血統表を掲載しているが、実態としては世界のサラブレッドの配合の歴史を概観し、その中に通底する配合の技法を探し出し整理概説した上で、それが世界や国内のサラブレッド生産において、どのように適用されてきたか、演繹法と帰納法を使い歴史を通説することによってその有効性を論証しようと試みている。

笠はインブリードおよびラインブリードの技法(これを総合して笠は「クロス」と呼ぶ)に特に着目し、配合を通じたサラブレッドの改良について、以下のファクターが重要であると考える。

優秀な血を引くこと
A級馬のクロス
同じ馬についての継続交配
クロスの継続と転換
同血・全きょうだい・4分の3同血のクロス
父母相似交配
4分の1異系導入と他のクロスによる止揚
「全きょうだいクロス」や「4分の3同血クロス」のようなニアリーな血のクロスを、笠は活力を増す配合として重視する。「全きょうだいクロス」は例えば、パーソロン産駒のプリメロの全きょうだいのクロスによって実証されている。そして、「4分の3同血クロス」だが、例えば、サンデーサイレンス産駒のヘリオポリスとガルフストリームの4分の3同血という相似なクロスから多くのG1ホースが続出していることがわかっている。

上記の表現のうち、いくつかは笠雄二郎が生み出した独特の表現である。まず、4分の3同血とは、サドラーズウェルズとヌレイエフのような、血統表の4分の3程度(またはそれ以上)が同じ血統の馬を示す。父母相似交配とは、父と母が複数の共通祖先を持ち、多種類のクロスが生じる配合(セントライトやマルゼンスキーなどが好例)を指す。それは爆発力を増すと笠は考える。また、4分の1異系とは、血統表の祖父母において、3頭が比較的似たタイプの血統で、残りの1頭だけが異系血統(強くインブリードされていればなお望ましい)ことによって、活力を生じさせることを指す。

なお、笠はクロスの表記法として、例えばネアルコなら「セントサイモン5・4×4・5」というように、父側の共通祖先と母側の共通祖先を分けるように表記した。それまでの世界の血統解説書では「5×4×4×5」のように父母の区別がついてなくて、父側のみに共通祖先があって本馬においてはアウトブリードなのかインブリードなのかが分かりづらかったりするので、これは独特な改善であると言えるだろう。なぜなら、インブリードは自身に存在しているのか、祖先に存在しているのか、どちらなのかが問題であって、自身に存在することと祖先に存在することとを、遺伝学的に区別しなければいけないという考えを表記として明示したからだ。

「クロス」の概念も含め、血統表の共通祖先を利用した配合手法を分かりやすく整理した点、「全きょうだいクロス(全兄弟クロス)」をA=B、「4分の3同血クロス」をA≒Bと表記したり、シンプルな表記を多用して、血統の配合論の手法を整理した点も評価できる。


武市銀治郎の血の活性化論

[編集] 五十嵐良治のI理論 - 久米裕のIK理論
在野の競馬研究家であった五十嵐良治は、「サラブレッドの競走能力の遺伝は、父の血統と母の血統に、それぞれ存在する同一の祖先によってのみ行われる。したがって、これらの同一の祖先こそ、サラブレッドの競走能力を遺伝させる遺伝因子なのである」というラジカルなインブリード・ラインブリードの重視を主眼とした血統理論を構築し、1984年より週刊競馬ブックにてその概要を披瀝した。

「共通の祖先」として定義されるのは、一般にインブリードの範疇とされる4代・5代にとどまらず、8代にわたる分析を行い、それらを総称して「クロス馬」と定義した。そして、そのクロス馬の出現傾向によって「名血」であるかどうかを分析する。実際には、以下の要件を分析する。

主導勢力
位置・配置
結合度
弱点・欠陥
影響度バランス
クロス馬の種類・数
質・傾向
スピード・スタミナ
一例として、主導勢力に関して紹介すると、これは、比較的近い位置でクロスしているAという馬がいた場合に、その父、またその祖父や祖母などがクロス馬になっているかを見て、「系列ぐるみ」でクロスが明確化されているかを示す。例えば、ある馬がナスルーラのインブリードを持つ場合、その父ネアルコ、ないしは母のムムタズベグムがナスルーラ以外を経由してクロス馬となっているか、を行い、更にそれをその父や母(ファロス・ノガラ・ブレニム・ムムタズマハルなど)に関しても行っていく。これらによって主導勢力が明確である場合は、配合の質が高いと定義される。上記のような様々なユニークな尺度により、精密な分析を行う点が魅力とされた。

五十嵐と同様在野の競馬ファンであった久米裕は、五十嵐に師事して彼の理論を学び、スポーツ新聞などのメディアを通じて五十嵐のイニシャルを取った「I理論」を世に広めた。さらに五十嵐の死後に、IK血統研究所を興し、新馬戦・未勝利戦を勝ち上がった各世代の全てのサラブレッドの血統分析評価を行ってこれを書籍で公開し、また馬主・生産者向けの血統コンサルタント活動を始めた。そのため、この理論は「IK理論」とも呼ばれることが多い。久米は種牡馬の数が増えた時代背景に合わせて、従来は例外的な場合にのみ行っていた9代までの分析を常態化し、さらに分析する8項目を五段階で評価し、その合計得点によって血統を評価する手法を新たに取り入れた。

特にオグリキャップ・ビワハヤヒデなど、一般的には決して良血とは言えない活躍馬の血統を「優れた血統構成を持つ」と説明したこと、「血統的にはスプリンター」と言われることの多かったミホノブルボンを一貫して中長距離向きと論じたことなどが同理論の評価を大いに高めた一方で、低い評価で走った馬に関して「日本の軽い馬場向けだから走ったのであり、本来名血とは言えない」などと説明する辺りで、教条的と見られて批判されることもある。


中島国治の「0の遺伝」理論
オペラ歌手の中島国治はイタリア留学中に、フェデリコ・テシオの未亡人リディア・テシオを訪ね、テシオの馬産理論を精査した成果として、競走馬が子孫を残す闘争としての競馬に着目し、独自の血統理論を編み出した。原則として主流血統として氾濫した血統においては、子孫を残す際の近親交配などによる弊害により不利が生じ、意的素質・闘争本能が低下すると指摘する。そして、母系における異系の血統がマジックとして重要であると説く。

一方で、単純なマイナー血統賛美に留まらない要素として、中島は「0の遺伝」という理論を編み出す。つまり、種牡馬のバイオリズムは「太陽のサイクル」と呼ばれる8年周期のサイクルで活性化し、それが0となる年に種付けされた場合は、「0の遺伝」という現象が発生し、近親交配による弊害がクリアされるとする。8代血統表にてゼロの遺伝で弊害がクリアされた部分を差し引いた数字を「残祖先数」とし、これが低い馬の場合には闘争本能などに優れた馬が出るとする。




posted by 競馬の錬金術師 at 05:24 | Comment(0) | TrackBack(2) | 血統まるわかり
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